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「活きる」激動の時代に生きた家族の物語

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随分前にアマプラで観た映画。印象に残っていたので。

「活きる」

https://eiga.k-img.com/images/movie/4447/photo/7b57da8a81b9f31b/160.jpg?1495098351

映画.com

資産家の家に住むフークイは身重の妻チアチェンに構いもせず、サイコロ賭博に明け暮れる日々。やがて博打の借金で全財産も家も失い妻にも去られたフークイは、プロ並みの影絵芝居を生業としまっとうな暮らしを志すうちに妻と子供が戻ってくる。貧しくも静かな生活ができると思った矢先、影絵芝居の巡業中内戦に巻き込まれたフークイは、何とか家に帰ると、母親は亡くなっており娘は口がきけなくなっていた。

1940年代かr60年代の激動の中国に暮らす一家の物語。

戦後から文化大革命にかけて、国の情勢が変わる度に翻弄される国民の姿をごく普通の家族の視点から描いた作品です。

冒頭から主人公のダメっぷりが見事。演じるグォ・ヨウがいかにも悪役の面構えなのであぁこれは妻役のコン・リーを苦労させひょっとしたら殺してしまうんじゃ、と思っていると、結構早い段階で改心するので、いい意味で裏切られました。

安定した生活になると思えば政治が変わり、不幸に見舞われたと思えば明るい兆しが見えるという、悲喜交々な人生をぎゅっと濃縮した大河ドラマのよう。

時代の波がどんなに大きくとも、家族を失う悲劇がどんなに深くとも、寄り添って毎日を暮らしていくしかない。そんな主人公たちの生き様に、夫婦の結びつきを感じると共に激動を生き抜く市井の人々のしたたかさを感じました。

人の生き死にや財産の動きで、時の権力盛衰をシニカルに描いているのも興味深いところ。

時代背景から多少の抗日的な描写も覚悟していましたが、その影響はほとんど無くその点でも安心して観られました。

何れにしても大きな時代のうねりを背景に、あくまでごく一般的な人の生活を軸にして、極力淡々と説教臭くない描き方に仕上げた良作と思います。


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