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「花様年華」大人の男女のすれ違いをノスタルジックな60年代の香港で

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もうとっくにレビューしていたと思っていたけれどスキップしていたようなので…そして先日スクリーンで久しぶりに再び観ることができたので改めて。

花様年華

https://eiga.k-img.com/images/movie/1470/photo/0273efb000b27dd4/640.jpg?1649657737

映画.com

1962年香港。新聞編集者のチャウ(トニー・レオン)と商社で社長秘書として働くチャン(マギー・チャン)は同じ日に同じアパートに越して来た隣人同士。やがてお互いの結婚相手が不倫している事に気付き淋しさを埋めるように時間を共にするうちに、戸惑いながらも強く惹かれあうようになる。

欲望の翼」から引き継がれ「2046」へと繋がっていくウォン・カーウァイの独特の世界観が見られる三部作の一つ。

三部作と言っても設定が一部繋がるだけでストーリーが完全にリンクするものではありません。まぁカーウァイ監督作品に詳細なストーリーを求めるのは何だか野暮(?)に思えて…それ程にその圧倒的な世界観や映像美に有無を言わさないものを感じます。

個人的にもこの三作のうちでは本作が一番好き。互いの伴侶は顔さえ写さず登場人物は極力排除しただただ主演の男女が映されるのみ。しかも狭い階段をすれ違ったり向かい合って食事したりでラブシーンは無し。それでも視線を交わすだけでも十分艶めかしく(やっとこさ)車内で手を重ね肩にもたれるだけの場面が活きてくるんですね。

ファッションショーのようにチャイナドレスを取っ替え引っ替え着回すマギー・チャン、文句無く美しいです。スローモーションで歩くシーン、何度見ても惚れ惚れします。

トニーの格好良さは言わずもがな。スパイや警察官でアクション満載の映画よりも表情一つで魅せるような映画の方が彼本来の持ち味が活きるように感じます。

あって無いようなストーリー(実際に何度も脚本は変更され、カットされたシーンも多々あったらしい)。ラストも観客の判断に任せているようなところもあり(いかにもウォン・カーウァイ作品らしいですが)、私も勝手にあぁなってこうなったのよね、といつものごとく解釈していますがどなたかと答え合わせをしてみたい…

本作製作は2000年。1997年既に中国に返還されていたことを考えれば、単なる大人の恋愛物語を超えて、もう戻らないかつての香港へのオマージュでもあるように思われます。

さて、東京市ヶ谷の一角に香港文化の発信拠点をコンセプトとするカフェVictoria1842があり、「花様年華書店」という名の書店が併設されています(営業不定期)。

victoria1842.com

こちらも先日訪ねてみたのですがスペースは小さいながら現地の書籍や写真集、グッズなどが置かれ、しばし香港の様子を感じる事ができます。中国語わかればもっと楽しめるんでしょうけどね…雰囲気だけでも味わえるのでまた再訪したいですね。


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